健康福祉委員会 視察報告

7月21、22日の二日間、委員長を務める健康福祉委員会で区外施設を視察しました。

今回は、介護予防をテーマに設定して、先進的な取り組みを行っている草津町と軽井沢町を訪問しました。

草津町は、平成13年から東京都健康長寿医療センターと共に介護予防をテーマとした研究を続けており、その後10年間の取り組みについて報告書が出されました。効果として、健康寿命が延伸し、それにより要介護認定率の減少や介護保険料の減額にもつながっています。特に介護保険料は、全国の自治体で最も安い基準月額3,300円に設定されており、視察の際、説明をして下さった町長は「介護保険を使わない方へのご褒美」と表現をされていました。それでも現状、給付費の不足は発生していない状況があります。草津町は65歳以上の就業者が多く、生涯現役で働き続ける方も多いとのこと。結果として、それが生きがいにもつながり、加齢による身体機能の低下に対して適度な刺激となっている点も健康寿命などの延伸、要介護認定率の低下などに影響しているといえます。大田区でも現在、元気高齢者の就労を支える仕組みとして「いきいき仕事ステーション」の活用などを図っていますが、まだまだ受け皿となる仕事が不足をしている状況もあります。今回の草津町の視察を受け、大田区でも生涯現役社会を実現できる、就労支援体制の拡充を実現していきます。

二日目の軽井沢町では、保健福祉総合施設である「木もれ陽の里」を視察しました。木もれ陽の里は、平成19年にオープンし健康増進部門を主体として、高齢者生活支援部門、保健予防部門、障害者支援部門、そして交流多機能部門など様々な保健福祉に関する機能を置き込んでいます。建物はデザイン性も高く、間接的な採光や交流しやすい動線の確保など、様々な点で配慮がなされていました。平成24年には公共建築賞を受賞しています。障害者支援部門では、地域活動支援センターとして就労支援の場を提供しており、ジャム用の果実の処理や使わなくなった布を使ったカバンなどを作って販売を行っています。保健予防部門では、一般的な保健センターの機能と共に、信州大学と連携し認知症やフレイル予防のための軽井沢健診を実施しています。また健康増進部門では、木もれ陽の里だけでなく、町内21地区26ヶ所で出張講座を実施しており、こうした細やかな取り組みの結果、コロナ禍を除くと要介護認定率の上昇は抑えられていると考えられます。また、ハイリスク者にはリハビリ専門職がマンツーマンで支援を行うなど、個別支援の枠組みが大きな効果を示しています。大田区においては、介護予防はどうしても集団的な支援が一般的で、ハイリスク者に対する個別支援の体制は十分ではありません。こうした軽井沢町での実例を生かしながら、大田区における介護予防事業の充実を図っていきます。