決算委員会で質問に立ちました①

大田区議会では現在、令和3年度の決算について審査を行う「決算特別委員会」を開催しています。

審議2日目、「福祉費」に関連して質問に立ちました。

テーマは5点。

文章が長いので、興味がある分野がありましたらお読み下さい。

❶大田区社会福祉協議会が行う、視覚障害者の同行援護事業の継続について
❷介護・福祉人材の「養成」機能の充実を
❸地域包括支援センターの運営法人の指定について
❹要介護高齢者紙おむつ支給事業について
❺障害福祉サービスを受ける際の、比較的所得が高い層の不利益について

❶大田区社会福祉協議会が行う、視覚障害者の同行援護事業の継続について
大田社協では、これまで長年実施してきた視覚障害者の外出を支援するガイドヘルパー事業を今年度で終了することを決定しました。理由としては、民間事業者が充実してきたということがあります。しかし、実際調査をしてみると、ガイドヘルパー事業を提供している事業者の中でも、視覚障害者を対象としたサービスを提供している事業者はわずかで、これまでサービスを受けてきた視覚障害者がサービスを受けられなくなる可能性が出てきました。

様々な視点から質問を行いましたが、区として「利用者の意向を踏まえて、支障なくサービスが利用できるように、丁寧に調整する。」とのことで、この調整の終了した頃を見計らって、再度、議会で取り上げていきます。

❷介護・福祉人材の「養成」機能の充実を
大田区では今年度、介護・福祉人材の確保・育成・定着等を目的として「大田区福祉人材・育成センター」を機能設置しました。しかし今、区内の事業所状況を調査すると70.7%の事業所が人材不足と回答しています。大田区福祉人材・育成センターは、あくまでも人材の確保・育成・定着が目的。人材を新たに育成する「養成」機関ではありません。

事例として、私も昨年までお世話になっていた品川社会福祉協議会の専門学校の事例を取り上げました。品川では、介護福祉専門学校を運営しており、その卒業生が区内の事業所で活躍しています。いきなり専門学校を作れとは言いませんが、「大田区福祉人材・育成センター」に人材養成機関として機能を置きこむことを求めました。

区としても、センターの機能強化に取り組んでいくとのこと。

❸地域包括支援センターの運営法人の指定について
福祉人材不足の波は、高齢者支援の中核機関である地域包括支援センターにも影響が出ています。現状、23ヶ所の内6ヶ所の包括で欠員が生じています。平成29年のことでしたが、西六郷にあったグリコ工場跡地に建つマンションに地域包括支援センターを新たに設置することに伴い、六郷地区の2つの包括を一体的に運営するという理由で、公募型プロポーザルによる事業者選定が行われました。結果として、それまで長年、包括を運営してきた事業者が選ばれることはなく、長年従事してきた福祉専門職が退職を余儀なくされ、大田区の大切な人材を失いました。

これから先、大田区公共施設等総合管理計画によると、今後の数年間に包括の複合施設への移転が何件も続くことになっています。また同じ悲劇を繰り返すわけにはいきません。今の状況を改めて考え、公募型プロポーザルによる地域包括支援センターの運営事業者の選定をやめることを求めました。

区として、選定方針のあり方について見直しを進めることになりました。

❹要介護高齢者紙おむつ支給事業について
経済的負担の軽減のため、紙おむつを支給する事業で昨年はのべ8万人近い方々に利用された事業です。当然のことですが、この事業は大田区に住民票がある方を対象した事業です。しかしながら、同じように住民票があっても大田区内の有料老人ホームに入所された方には紙おむつが支給されるのに、区外の有料老人ホームに入所すると支給がストップします。同じ税金を払っているのに扱いが違う点の改善を求めました。

区としては、システムの改修が必要であり、次回のシステムの改修の時に対応するとのこと。

❺障害福祉サービスを受ける際の、比較的所得が高い層の不利益について
一般的な家庭を事例に、所得に応じて、受けれられる給付と障害福祉サービスを受ける上での負担額の違いを問題として取り上げました。

詳細の数字は、画像のデータをご覧いただきたいのですが、4人家族で子供が2人、うち1人が障害等級一級、介護のため親の片方が専業主婦(主夫)となっている事例です。親の年収が約600万円の世帯は特別児童扶養手当や障害児福祉手当、区制度である心身障害者福祉手当等、全ての手当てを受けることができ、手当の年間総額は128万円余です。これが年収960万円程度になると、先に述べた手当は不支給となり、児童手当も半額になります。サービス利用における負担額の違いも顕著で、年収600万円であれば年間9万円程度で受けられるサービスが、年収960万円程度となると、年額48万円と5倍以上の負担が発生します。もちろんこれだけでなく、年収960万円の世帯の場合、障害のある子どもだけでなく、障害のない子どもも、高校授業料無償化など、様々な精度の利用に影響をうけることになります。

障害を持つ子どもを育てる家庭において、年収一千万あるからといって、決して生活が楽なわけではありません。努力し、年収が上がったら様々なサービスが打ち切られ、結果的には努力した分の収入は全て支援のために消えていく。頑張って働いて、障害のある子どもを育てている親が馬鹿を見る、そんな現実もあります。障害児への支援のあり方について、このような現実があることを課題として捉え、区でも出来るところから見直していくことを求めました。

大田区としても、「制度の所得制限により、結果として一部で可処分所得の逆転が発生することがあると認識している。少子化の流れを食い止めるためにも、子育て世帯に対し支援策を充実していくことが重要」と答弁。区としては、ひとつひとつ改善に向けた努力をしていくとのこと。

質疑の詳細につきましては、後日、YouTubeチャンネルで動画で配信いたします。